講習会|古民家を極める|講師:中條健史

目次
講習会|古民家を極める|2025年8月24日(日)
中條健史講師の講習会を取材しました。中條健史講師は多くの古民家を描かれていますが、古い建物に宿る時間の経過のあと、、古い釘、経年の破損、汚れなど朽ちていく様に心が惹かれるそうです。今回の講習会では古民家の描き方とどのようにすれば活き活きとした描写ができるのかを教えていただきました。中條健史講師、午前と午後の講習会ありがとうございました(写生会部:MasudaYuri)
お知らせ 今回講師をしてくださった中條健史さんが「第11回 水彩画コンベンション|2025年10月4日(土)~10月13日(月)」で講師をされます。ぜひご覧ください。
1 わら屋根の様式
【中條健史講師】:わら屋根の構造を理解するとわら屋根を描く際のポイントがわかります
① わら屋根の入母屋屋根を描くときは、折れ曲がっていることをきちんと描くことが大事です
② わらの重みで下に向かって屋根は丸みを帯びています
③ わら屋根のわらは端から端まで一方向にふかれています。スケッチ、彩色をするとき間違えないようにしましょう

【中條健史講師】:構図を決めるとき、目の高さに注意してください。立って描く、座って描く、目の高さが違うと建物の見え方がかわります

【中條健史講師】:スケッチをするときに建物などの流れ、動きなどを意識しましょう

2 古民家を描いてみよう
1 構図について


【中條健史講師】:最初の絵は、風景を見たまま忠実に描いていますが、絵に動き、迫力がありません。絵に動き、迫力を出すため、古民家をアップにし、少し下から見上げたような構図で描いてみました(トタン屋根をもとのわら葺屋根にして描いています)。同じ風景を見ても、構図、風景の捉え方でこのような違いがでます。今回の講座では絵を模写することにより、古民家の描き方と、動き、迫力のある絵の描き方を習得するのが目標です。
三分割法
三分割法とは、絵画の基本的な構図技法のひとつです。画面を縦、横それぞれ3等分した分割線のライン上、または交点に主要な要素(被写体、水平線、建物など)を配置することで、安定感と視覚的な魅力ある構図になります。

模写をする絵(教材)

2 鉛筆で下描きのスケッチをする
屋外スケッチの鉛筆の下描きは15分くらを目安にします。描きたいものを大きな塊で捉えて細かいことにとらわれず単純化して描きます。細部は着色するときに描けばよいのです。鉛筆スケッチの段階で動き、迫力のある、跳ねるようなタッチの絵いてください。屋外スケッチでは0.9mmのシャーペンが便利です。シャーペンは軸をまわしながら、常に先が尖るようにして使います。

勢いのある線、表情のある線で描くようにする。線をひくことを楽しむのが大事です。

鉛筆のスケッチだけでも絵になるようにしましょう。ごちゃごちゃしていて何かわからないようのものは見たままわからないように描けばよいのです。なんでもきっちり描こうとしないことが大事です。

3 色を塗る
1 ※注:最初の鉛筆スケッチ、着色は取材者がしてます。最初は薄く、背景から塗って全体を塗る、と中條講師に教えていただいて塗りました。屋根は明るいところは白を残して丁寧に塗った方が良かったそうで、少し失敗しています。着色途中で、中條講師に代わって頂き着色の方法を教えていただきました。
中條健史講師:水をつけてから絵具を取るようにして、水はできるだけ少なくして塗るようにします。筆は洗わず色を変えるときは雑巾でふきとって使います。雑巾は必ず必要です。

2 中條健史講師:最初から暗いとこは濃度を濃くして暗い色を塗っていくと絵もはやく仕上がります。一番明るいところは紙の白を残しても良かったかもしれません。どの時点で描くことをやめても、絵画になっているように描くことが大事です。絵の一部だけ一生懸命描き仕上げるのではなく、常に全体のバランスを見ながら全体に色を塗るように描きます。
筆を持っている手の小指をキャンバスに置き、支えにすると筆が安定し筆圧をコントロールできて描きやすいです。筆のタッチ、向き、勢いなどもいろいろ試して描いてみましょう。

3 手前にある木は濃い色を塗ります。ウルトラマリンとバーントシェンナーなどを混色し水を少なくして濃度を濃くして色をぬります。

中條健史講師の水彩画の道具

シャーペン:ステッドラー STAEDTLER 製図用シャープペンシル 0.9mm ※アルミの軸で適度な重さがあり描きやすいです
筆:名村大成堂 ナムラ 山馬(サンバ)中・小サイズ ※屋外スケッチに持って行きやすくするため軸を短く切って使っています。筆はいつも洗いません。ぞうきんで水と絵の具を拭き取っています。写真右の小さな入れ物は水が入っています。いつもこれだけの水で描きます
安価なデザイン筆(平筆) 毛先を1cm弱ほどに短くカットして使っています。修正したい部分を消したり、水の光っている部分を表現するのに絵具をとったり、背景をぬったり、と便利に使えます
名村大成堂 ナムラ 山馬(サンバ)筆:ナムラ 山馬の筆は貴重な材料である、純良なサンバー(鹿毛)、天尾(馬毛)を主材に造られた、日本画用筆です。荒々しい表現をする竹、枯枝、岩肌等の墨絵に愛用されています
名村大成堂
絵具:色は 1 赤色(オペラ)、2 青色(ウルトラマリン)、3 黄色(レモンイエローとカドミウムイエローライト)、4 茶色(バーントシェンナ)、5 グリーン(フーカスグリーン)、6 白のガッシュ 6色の色で描きます。色は混色して作れます。
講習会のみんなの作品をご覧いただけます。ぜひご覧ください。
中條健史講師の作品
教室に置いてある古民家の絵を撮影させていただきました
[1] 古民家(水彩画) 2023年ファブリアーノ日本選抜作品

[2] 古民家(水彩画)
【技法のポイント】背景の森は一度色を塗って、先を短くカットした平筆で全体をなじませ(一旦ぼかす感じです)、そのあと、主要な葉、枝をその上に描きます。瓦の描き方もポイントです。

[3] 古民家(水彩画)

[4] 古民家(油彩)

[5] 風景画80号(水彩画)
80号に描かれた水彩画です。大きな水彩画におどろきました。大きな水彩画を描く方法を教えていただきました。油絵のキャンバス80号サイズを用意し、そのサイズにロールの水彩紙をカットします。そしてキャンバスの上に水彩紙を置き大きなホッチキスで木枠に水彩紙をとめるそうです。

中條健史絵画教室 |大阪の絵画教室|対象:大人 社会人
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